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第18話 二時間だけ待ってくれ

last update publish date: 2026-10-16 13:46:00

第18話 二時間だけ待ってくれ

 紗良から届いたメッセージを、玲央は三度読み返した。

『あの夜のことを、今度話します』

 たった一文だった。

 詳しい日時も、場所も書かれていない。

 それでも、その短い文章が届いた瞬間から、玲央の中で五年前の六月十四日が現実の重さを取り戻していた。

 忘れていたわけではない。

 紗良が家を出た日として、何度も思い返してきた。

 離婚届と指輪が置かれていた朝。

 連絡の取れない妻。

 空になったクローゼット。

 けれど、その前夜については長いあいだ、自分に都合のいい形で記憶していたのかもしれない。

 会社が危機に陥っていた。

 紗良から病院にいると連絡が来た。

 自分は行くつもりだった。

 仕事が長引いた。

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